もっとも、長い間採用に関わり、ものすごい数の学生と向き合ってきたにもかかわらず、心の在り様を捉えきることができなかった例もあります。
「どういう部署を経験したら人事部長になれますか?」
こんな質問をある若手から受けました。学歴も輝かしい人物です。よくよく話を聴いてみると、会社で本当にやりたいことがあるわけでもなく、肩書を持つことが目標のようでした。その上司からの報告では人間関係も打算的で、「上司には服従するが、同僚に対しては馬鹿にして衝突する残念な人物」とのことでした。
学歴信仰の呪縛から自由になっても、EQの実相を見極めるのは難しいことです。人の心は手に取れないもの、数値化できないものだからです。しかも、美化された心が対象です。それを見抜くことは採用選考の究極の課題かもしれません。それでも、私は「EQ信仰」を強調したいと思います。