「お前は私立大学だから駄目なんだよ!」と叱責
しかし、学歴信仰とは言わないまでも、学歴を信用して選別している企業が相当数あるのではないかと想像します。企業は、学歴や学力の高さが必ずしも成果に結びつかないことを経験的に知っていますが、選考の効率化を図る目的で、わかりやすい尺度として学歴フィルターを用いるのだと思います。
社員の選考方法はそれぞれの企業が独自に決めることであって、学歴に対する信仰の度合いも企業によって異なります。「〇〇大学の学生を採っていれば間違いない」とか「この大学は採用実績がないから採らない」という企業もあるでしょう。
こういう考え方は奇異に感じなくもないですが、企業それぞれの経営判断の一つで、干渉を受けるものではありません。ただ、本当の意味で人物本位の採用をしようとするのならば、学歴信仰は邪魔になり、正しい判断の妨げになる恐れがあります。
「東大にあらずんば人にあらず」
こんな極端な学歴偏重主義に対して大多数の人は、「そんなことはない」と一笑に付すでしょう。ただ、本気でそう考えている人、あるいは、そう信じたい人は存在します。東大に限らず、「国立大学出身者は私立大学出身者よりも偉い」と主張する人もいます。
私が人事部にいた時の話です。
「仕事でミスをしたら、『お前は私立大学だから駄目なんだよ!』と、上司から叱責を受けました。あの人、国立でも私より偏差値が10以上低い大学ですよ。馬鹿なパワハラ上司をなんとかしてください!」
私はそんな愚痴を受け止めながら、出身大学や偏差値を材料にして本気で争っている2人に愕然としました。