東京のテレビ番組、特に討論系の番組はあまり面白くない。すべての番組ではないが、討論番組やワイドショー番組の多くは、コメンテーター席に勢ぞろいした出演者たちが番組的に不都合の生じることを口にしないように、制作サイドが細かな指示を出し、台本には模範解答まで書いている。
せっかく元政治家や学者、文化人、タレントなど個性のある面々が出演しても、これでは誰もが個性のない、台本を読み上げるロボットになってしまう。それに対して、大阪のテレビは番組の制作方法が異なる。
炎上やクレームはどのように受け止めればいいのか。橋下徹はなぜあそこまで活躍できたのか。2025年国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)とその後をめぐり、今いかに大阪の政治と経済にはチャンスが溢れているのか──。
「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ)のチーフプロデューサーを長く務め、『オオサカ、大逆転!』(ビジネス社)を上梓した結城豊弘氏に話を聞いた。(聞き手:阪口 舞、シード・プランニング研究員)
※記事中に結城豊弘さんの動画インタビューが掲載されていますので、是非ご覧下さい。
──3月末で退職されましたが、結城さんがチーフプロデューサーとして長い間、関わってきた「そこまで言って委員会NP」は、剥き出し感が東京のテレビ番組とは一線を画しているという印象を受けます。どのように番組の雰囲気づくりをされていたのでしょうか。
結城豊弘氏(以下、結城): 出演者の皆さんは、東京の番組では口にできないことでも大阪では話されていきます。その背景には、まず番組の制作状況の違いがあります。
例えば、東京では台本に一語一句すべてが書かれていて、番組的に放送で口にしてほしくない内容や話題がものすごく多い。それに比べて大阪で用意される台本は簡素で、発言は出演者の裁量に任されている部分が大きいという面があります。
放送法や放送基準、局のガイドラインもあるので、どんな発言でも許容されるわけではありませんが、大阪の方がアットホームだと言えます。
大阪の番組制作者は少し斜め目線で東京のテレビ番組を見ており、例えばニュースで取り上げる際に、記者会見での発言をそのまま引用するのは格好が悪いという感覚があります。だから、少しひねりを入れたり、庶民感覚の視点を入れたりすることを大切にしている。そこが東京と大阪のテレビ番組の違いで、出演者にも影響を与えるのでしょう。