(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

あきれた給付金詐欺と予備費

 コロナ対策の給付金が何億円、何十億円と詐取されていた。大学生や高校生まで詐欺に駆り出され、簡単に100万円もの給付金が支給されていた。いま暴かれているものも氷山の一角だろう。税金が原資である巨額の金がコロナ対策の名目で詐取されてきたのだ。

 安倍晋三、菅義偉、岸田文雄の3内閣によって、ばらまき政治が横行してきた。その原資となってきたのが「予備費」なるものであった。

 予備費というのは、自然災害など不測の事態に直面した際、政府が柔軟に対応できるよう使い道をあらかじめ決めずに予算に計上する費用のことである。災害などに備える一般的な予備費は年3000億円前後で推移していたが、最近は5000億円の計上が定例化してきた。日本のように自然災害が多い国では、このような制度は必要なことだろう。

 ただ新型コロナウイルス対応での予備費は異常だ。コロナ対応予備費は、2020年度の補正予算で9兆6500億円計上された。2021年度は当初予算で5兆円、今年度も同様に5兆円計上された。3年度で20兆円近い予算が計上されたのだ。

 いま円安、原油の値上がり、ロシアのウクライナ侵攻や経済制裁などの影響もあって物価高が深刻さを増している。物価高の緊急対策の原資として、コロナ対応の予備費を充てることを決めた。しかし、これは本来の目的から反するものだ。