日韓首脳会談について、「具体的な予定は決まっていない」と語る岸田首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 6月17日、韓国・ヘラルド経済から「“反日・親日”を超え“競日・協日”時代に」という記事が出た。時事日本研究所の所長を務めるチェ・インハンという人物が書いたコラムだ。

 同コラムには、以下のようなことが書かれている。

「韓国の文系大学を卒業した人々の就職が困難になっている反面、日本の就職率は90%を超えて良好だ。就職難に直面している韓国の青年たちにとって日本市場はよい代案となり得る」
「是枝裕和監督が作った初の韓国映画『ベイビー・ブローカー』のように、映画・ドラマ・大衆歌謡などにおいて韓日間の水平的な分業が成されれば、グローバル・コンテンツ市場でより多くの結実が期待できる」
「韓日両国は自国の平和と経済成長のため、和解の必要性が以前より一層高まった。また、韓日間の国力の差も狭まり『日本コンプレックス』から抜け出すことのできる土壌も築かれた」

 チェ氏は韓国経済新聞の東京特派員、日本・流通科学大学の客員教授などを経て、現在は時事日本研究所の所長を務めている。

 時事日本研究所のホームページには、「日本経済の成長と衰退、再跳躍過程は長期低迷に陥った韓国経済に示唆する点が多い」「韓国と歴史的にも地理的に近い日本は、私たちの『反面教師』だ。日本社会の長所は見習って短所を排除すれば、私たちは真の先進国隊列に合流して世界を先導できるようになる」と 所長の挨拶が書かれていた。

 このコラムのように、尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が韓国大統領に就任した後、しばらくは他のメディアでも日韓関係改善を期待する記事が目立っていたが、ここにきて変化が出ている。

・中央日報「また韓国のせいにする日本 産経新聞『NATO会議で日韓首脳会談見送り調整』(2022.06.15)」
・総合ニュース「遠のく韓日首脳会談 韓国大統領室『必ずやるべきだとは考えない』(2022.06.15)」
・朝鮮日報「韓国が手を差し伸べたのに 日本は国内政治に埋没し高姿勢(2022.06.16)」

 尹政権誕生後、岸田首相が「日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本としては、これまでの一貫した立場に基づいて新政権と意思疎通を図っていく」と発言したことで、韓国国民の期待度は大きく膨らんだ。だが、両首脳が会談する具体的な日程はいまだに決まっていない。