おじさんへ送る7つのエール

 というわけで(どういうわけだか)、これまでの取材から見えてきた、ホワイトカラーの中高年男性が副業を探す際の心得を、独断と偏見で勝手にまとめてみた。

 おじさんのサンプル数が多くないので、今後改定の余地はあるが、とりあえず現状で言えるのはこれだ。

(1)現実から目をそらさないで
 とりあえず現実を見よう。「オレは会社で30年働いてきたから、業界のことは詳しいし、知見もある、だからどこでもやっていける」と思っているなら、実は錆びたボロボロの刀を振り回しているだけかもしれない。あなたが同じ会社で塩漬けになっている間に、世の中は恐ろしいくらい変わっている。

(2)おじさんも見た目が9割
 とにかく見た目が「ザ・おじさん」なら不利なこと間違いなし。1ミリでも若く見えるように小奇麗にしよう。何ならプロにお金を払って、自分に似合う服装や髪形をアドバイスしてもらってもいいくらい。「竹野内豊(51)になれ」とは言わない。少なくとも清潔感は大事。

(3)クラウドソーシングや副業マッチングサイトには期待しない
 こうしたプラットフォームに集まる好条件の仕事は、全国(もしかしたら世界)のライバルと奪い合いになる。その道に秀でた若者が仕事をかっさらっていくので、50代以上のおじさんは敗北しやすい。

(4)YouTubeやブログで自慢するヤツの話はアテにならない
 おじさんたちに話を聞いていると、驚くほどにYouTubeからの情報を鵜呑みにしている人が多い。「副業でこんなに稼げる!」「これをやれば絶対儲かる」みたいな類のものだ。ユーチューバーはみんなに見てもらうためにやっているから、自分も同じようになれると思ってはいけない。

(5)心が動いたなら続けろ
 単価が安い、人に知られたくない仕事でも、「面白そう」「楽しそう」と思うならチャレンジし、とにかく最低半年は続けてみること。プライドを傷付けられ、みじめな思いをするかもしれないが、それを乗り越えてこそ次があるし、そこでもがけるオヤジの方がカッコいいと思う。

(6)SNSや動画配信は続けなきゃ意味がない
 ネットで何かを発信したいと思うなら、見ている人が一人でも続けるしかない。こういうのはリスクの高い投資と同じで、いつか大きなリターンがあるかもしれないし、ないかもしれない。投資と違うのは大ヤケドすることはなく、徒労で済むこと。でも続けなきゃリターンも何もない。

(7)かわいげがないと
「GAFA」という言葉を広めたニューヨーク大学教授のスコット・ギャロウェイ氏は、「イメージはとても重要だ。外からどう見えるかが現実である。そうなると好感度が高く、かわいげのある存在になることが重要になる」と語っている(『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』)。その中では、「GAFAはかわいげがあるけど、マイクロソフトはかわいげがないから負けた」みたいなことも言っていた。世界を牛耳るGAFAでもかわいげを大事にしているのだから、おじさんも偉そうにしてはいけない。