全く参考にならない編集者Sの一言
「まあ、私がやっていることなんて、どれも副業みたいなもんだから。イタコの写真集を作ったり、オンライン講座を始めたり、子どもの家庭教師をしたり、書籍を出したり。今は絵本作りも考えている。これ、全部副業!でも、楽しいからストレスなんてないし、それが仕事ってものだと思う」
ソバージュ頭の人に言われても、全然参考にならない。あなたのように生きられないから、おじさんたち悩んでいるんじゃないか……とノドまで出かかったが、黙っていた。
「転職する人は転職するし、会社にしがみつく人はずっとしがみつくから。そこらへんの分岐点みたいなのがあるんじゃないかな。変化に対応できる人は、副業なんかも上手くいくと思う」
ソバージュ頭はズズっとお茶をすする。
分岐点か。確かに、「あの時あの大学に入れていたら」とか、「もっと早く、何かに取り組んでいれば」とか、「あの時、植毛していれば」とか、何かと後悔を口にするおじさんは多い。
しかし、副業探しに行き詰まるおじさんたちの特徴は、今のところ一括りにしにくい。コミュ力が高い人だって、イケオジ(イケてるオヤジ)だって、専門知識が豊富そうな人だって、みーんな苦戦しているのだから。やはり、理由はこれしかない。
「おじさんだから」
特に50代に入ると、かなり不利な気がする。そういえば、とある人材派遣会社を経営する20代女性に話を聞いた時、おじさんについて次のように話していた。
「一番仕事を振りたくないのが、50代以上の男性。我が強くて、頭が固い。おじさんっていうだけで上から目線、平気でウソもつくし、バックレる。連絡も遅い、体力もない、わがままで、臨機応変にできない」
うわー、おじさんのイメージひどすぎる。これからはおじさんのイメージを、「かわいくて、気が利いて、やさしくて、いい感じのオヤジ」に一新させていかなくちゃいけないだろう。