数日後、こうした遺族の行動を知った静岡県警本部が防犯カメラの映像を押さえ、仲澤さんのスクーターは交差点を青信号で直進していたことを確認。赤信号を無視したのは乗用車の方だったとして、一転、運転していた女性を逮捕したのです。

事故現場に献花する遺族(遺族提供)

裁判所も亡くなった仲澤さんを被害者と認定

 以下は、3年前、筆者が本件を初めて報じた記事です。

<事故死した父の走行ルートが違う! 誤った捜査と報道を覆した家族の執念> (Yahoo!ニュース個人)
https://news.yahoo.co.jp/byline/yanagiharamika/20190603-00128353

 その後、加害者は「自動車運転処罰法違反(過失致死)罪」に問われ、2021年3月15日、静岡地裁沼津支部で禁錮3年執行猶予5年の判決を言い渡されました。

 事故から3年という歳月がかかりましたが、実際の事故状況は、初動捜査の結果とは全く異なるものであったことが明らかとなり、仲澤さんは赤信号無視の車にはねられた被害者だと認定されたのです。

「もし、私たち遺族があのときすぐに動かなければ、父の走行ルートは取り違えられ、『加害者』のままでした。たまたま、私たちが父の通勤ルートを知っていて、防犯カメラという証拠が残っていたから、そして協力してくださる方が沢山いたから、辿り着けた真実だったのです」(杏梨さん)

亡くなった仲澤勝美さんの4人の子どもたち。裁判所前で(筆者撮影)