中国税関総署によると2020年の食品輸入額(飲料除く)は981億ドルと、この10年間で4.6倍に増えた。またこの5年間で大豆やトウモロコシ、小麦の輸入額は2〜12倍に急増、牛肉や豚肉、乳製品、果物類も2〜5倍に伸びたという。
それが世界の食料価格の上昇にもつながっている。昨年11月の段階でFAOが算出する世界の食料価格指数は1年前より約3割高くなっていた。
肥料価格上昇にもかかわっているロシア
ロシアによるウクライナ侵攻によって、もうひとつ食料危機を招く要因とされているのが、世界的な肥料の価格の高騰だ。
世界銀行が算出する2010年を100とする肥料価格の指数が今年3月に237.6と、前年同月の2.3倍に急騰し、2008年以来の高値を記録している。
窒素、リン、カリ(カリウム)は肥料の三要素と呼ばれるが、このうちカリについては実はロシアとベラルーシが世界の生産シェアの35%を占めている(2020年)。ウクライナ侵攻による経済制裁で両国から西側諸国への輸出が減った。日本もロシア産の塩化カリウムの輸入を停止した。このため、塩化カリウムは3月に1トン562ドルと前年の2.8倍まで急騰しているのだ。
肥料が不足すれば、穀物の収穫量も減る。品薄となっても、高騰した肥料コストを上乗せしても、いずれ穀物価格は上昇する。