起業、独立、複業など「自分軸」に沿った選択をすることで、より理想にフィットした働き方を手に入れようとした女性たちのストーリーを追う連載「INDEPENDENT WOMEN!」。
今回はスピンオフ企画として、女性起業家応援プロジェクト「DISCOVER MYSELF」(公益財団法人大阪産業局)で総合プロデューサーを務める井本達也さんにインタビュー。これまでリアルで1万4000人、オンラインで5000人を超える女性たちと出会ってきたなかで強く思うのは、自分軸のある女性こそ「起業」を選択してほしいということ。女性が起業することとは?そのブラッシュアップ方法とは?事業立ち上げのための心構えとは? 日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー大賞、経済産業大臣賞受賞と、日本を代表する数々の女性起業家を輩出した井本流、起業の仕方、そのノウハウに迫る。
文=小嶋多恵子
女性起業に必要なのは人的ネットワーク
――数多くの女性起業家を輩出しているビジネスプラン発表会「LED関西poweredby大阪信用金庫」(以下LED)のプロデューサーをされています。まず、LEDとはどういったものですか?
井本:LEDは、起業したい女性たちと「サポーター」と名付けた大手企業をマッチングさせるためのビジネスプラン発表会です。ここでファイナリストに選ばれた女性たちはその後「アンバサダー」としてコミュニティに参加でき、サポーター企業をはじめ、地方自治体や地域支援機関などのサポーターを得て、ビジネスを広げるチャンスに出会えます。
――賞金や支援金を支給するのではなく、大手企業と一緒に事業展開できる機会を提供するというのは、今までにない発想ですね。
井本:これまで女性が起業できない原因は資金不足にあるという考えがメジャーでしたが、それよりも問題は人的ネットワークだと僕は思っています。
男性は飲み会やゴルフの付き合いなどで、ビジネスチャンスを掴むことも多いが、女性はその機会が圧倒的に少ない。そして女性は妊娠出産などで社会と途切れるなどのブランクがあることで、もともと持っていたネットワークからも距離ができることも多いんですよね。
そこでLEDが女性起業家と大企業とのハブになればと考えました。大手企業を巻き込むことで、認知度も事業スピードも格段にアップしますから。イメージ以上のことが実現できる。
女性起業家が着目する課題は社会課題が多く、ビジネスの成長のためにまずはその課題感を啓蒙する必要があることも多い。大手企業と組めば世の中に浸透しやすくなり、そのスピード感が全く違う。今の時代にフィットした新しいフレームワークだと思っています。