起業、独立、複業など「自分軸」に沿った選択をすることで、より理想にフィットした働き方を手に入れようとした女性たちのストーリーを追う連載「INDEPENDENT WOMEN!」。

  第4回はガーナで設立したNGO団体MY DREAM. orgの代表であり、日本とアフリカの架け橋となる株式会社SKYAHを起業、 CEOを務める原ゆかりさん。NGOで活動する傍ら、外務省から大手総合商社へ転職、そして起業と、異色のキャリア持つ。NGOと企業、常に二足のわらじを履き活動してきた理由とは? アフリカを起点とした紆余曲折のキャリアストーリー前編。

文=小嶋多恵子
原 ゆかり 氏 NGO法人「MY DREAM. org」代表、株式会社SKYAH代表
1986年生まれ。愛媛県今治市出身。東京外国語大学卒業後、外務省に入省。在職中にガーナ共和国ボナイリ村でNGO法人「MY DREAM. org(マイドリーム)」を設立、支援活動を開始。2015年に外務省を退職、三井物産ヨハネスブルグ支社に勤務しながらNGO活動を継続。2018年三井物産を退社し、アフリカ企業参画を経て株式会社SKYAH(スカイヤー)を起業。現在、同CEOを勤める。趣味は愛犬との散歩。
https://proudlyfromafrica.com/

原点はフィリピンのゴミ山の少女を見た時の強い違和感

 NGO代表、元外交官、元大手総合商社勤務と、圧倒的なプロフィールを前に「散らかったキャリアですよね」と笑う原さん。硬い肩書きと真逆の柔らかな第一印象に取材するこちらが驚かされる。

 生まれ育ちは愛媛県今治市、高校までを地元で過ごし、卒業後は海外留学しようと強く心に決めていた。意識が海外へと向いたのには、中学時代にたまたま見たテレビ番組がきっかけだったという。

「NHKのドキュメンタリーでした。フィリピンのスモーキーマウンテンという場所で少女がゴミの山から鉄くずやペットボトルを拾い集めている様子が映し出されていました。家もない、食べるものもない。幼い少女が危険な場所で、自分の食い扶持のために必死で働かないといけない。8歳年下の妹と同じくらいの年の子がそんな状況に置かれていると思うと、急に自分ごとに感じて、これはおかしい、どうにかしなくちゃいけない、と強い衝動に駆られたんです。こういう現状を変えられる大人になろうと決心しました」