(立花 志音:在韓ライター)
「ねえ、今度の大統領就任式に安倍総理は来ないの?」
高校に入学して最初の試験が終わって、完全脱力状態の息子がテレビを見ながら聞いてきた。
「今、安倍さんは総理じゃないんだけど」
少し驚いて筆者は答えたが、「やっぱり知らなかったか」と思いながら、ここ2年ほど息子と交わしてきた珍質問と迷回答を思い返してみた。
ケネディ大統領を知らないと言われた時の衝撃に比べれば、この程度はなんてことない。
「えっそうなんだ、知らなかった、ハハハ」
「じゃあ、今の総理は誰?」と聞いてくると思って待っていたのに、息子は何も言わず、キャラメル味のポップコーンを頬張りながら、チャンネルを回した。
「ちょっと!!お菓子の手でリモコン触らないでっていってるでしょ!!いつもそうやってゲームやってるんでしょ!!」
息子の部屋を掃除するたびに、スナック菓子やカップラーメンの残骸を片付けている筆者の不満が一気に爆発する。
「いいじゃん。試験終わったんだから。また来週から勉強しなきゃいけないんだよ」
勉強することと、お菓子で汚れた手でリモコンを触ることとは何も関係はないはずだが。相変わらずの迷回答だ。
おそらく、これは男子あるあるなのだろう。息子が人間らしくなるのが先か、もしくは筆者が放棄するのが先か。
「勉強さえすれば何をしても許される」的な韓国社会の流れの中で、信念を貫く子育てをするのは至難の業である。
【関連記事】
◎息子の授業を知って驚いた、世界史をろくに学ばない韓国人の若者(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67253)