(羽田 真代:在韓ビジネスライター)
韓国・朝鮮日報に、「日 コンビニトイレ公共化ゴタゴタ 自治体が嫌悪施設のなすりつけ(2022.05.02)」という記事が出た。
神奈川県大和市が2022年2月から、市内のコンビニの協力を仰ぎコンビニトイレの公共化に乗り出した。だが、トイレの利用者は増えたものの、売り上げは思うように伸びておらず、水道代や清掃費用がかさみ「店舗側の負担だけが増えた」と不満の声が上がっている──という内容だ。
公共化に応じた店舗には「公共トイレ協力店」と書かれたステッカーと、年間200個のトイレットペーパーが配られることになっているが、公共化に伴うメリットがないとコンビニ側は考えているようだ。
朝鮮日報の記事には、2010年10月から公共化を進めている東京都町田市の事例も出ている。町田市でも、「トイレを使用する人は増えたが、大半が何も買わない」「汚れたトイレの清掃を嫌がる従業員がどんどん辞めていくのではないかと不安だ」というコンビニ側の声が出ている。
店舗側の負担が大きいこともあり、2022年4月中旬時点で、町田市にある約110店のコンビニのうち、公共トイレに申請した店は9店舗だったそうだ。
このような事例をもとに、朝鮮日報は「自治体が嫌悪施設をコンビニに押しつけようとしている」と結論づけている。
日本は「災害大国」ということもあり、コンビニなど民間施設のトイレの公共化がしばしば俎上に載るが、韓国の場合、顧客にトイレを開放することは基本的にない。近年は「日本のコンビニのように韓国のコンビニでもトイレを開放してほしい」という要望が高まっているが、その要望に応えようとする店はほとんどないのが現状だ。
それでは、なぜ韓国のコンビニはトイレを開放しないのか。筆者は5つの理由があると考えている。