旗艦撃沈、「ロシアにとって最大級の屈辱」
4月15日、ウクライナ軍が発射した対艦ミサイル「ネプチューン」がロシア軍の黒海艦隊・旗艦「モスクワ」に命中して沈没した。
米国防総省がいち早く発表した。一方、ロシア国防省は「火災が起きてその後沈没した」としている。
世界中の大半の人たちは前者を信じている。どちらにせよ、この旗艦が沈没したことは間違いない。
ウクライナ侵攻を続けるロシア軍が、防空システムの要としてきた黒海艦隊の旗艦を失った。
南部制圧に向けた軍事作戦の修正を迫られるのは必至で、増加の一途をたどる兵士の犠牲と合わせてロシア国内に厭戦ムードが広がる可能性もある。
ウクライナメディアのリガ・ネットは「ロシアにとって最大級の屈辱」と評している。
ジョー・バイデン米大統領はウクライナをめぐる緊張が高まっていた昨年(2021)12月、米国が軍事力でロシアに対抗しない方針を明確にしていた。
こうした姿勢は当然、「弱腰」と批判された。実際、制裁の脅しだけではロシアの侵攻を阻止できなかった。
連日のようにロシア軍によるウクライナ国内での殺戮行為が報じられ、国際世論はロシアの「戦争犯罪」を非難した。バイデン氏はこれを「ジェノサイド」(集団殺戮)と断定した。
ロシア軍が今にもウクライナを軍事制圧するかに見えた2月24日の侵攻以降、4月に入るとウクライナ軍の巻き返しが報じられた。
少なくとも米国民の大半にとっては、4月15日のロシア軍の旗艦沈没のニュースはそれを象徴するかのような「朗報」だった。
米国を含むNATO(北大西洋条約機構)の対ウクライナ武器支援がここにきて功を奏し始めたようだ。