歓迎されない日本の高級菓子

 筆者はドイツを訪れて、ドイツの店では商品を個別に包装することがほとんどない、ということも知った。

 ドイツに出張してきた日本人ビジネスパーソンが、商談相手のドイツ人に、手土産として、日本のお菓子を渡すことは珍しくない。そうした菓子は、たいてい個別包装され、化粧箱に入れ、さらに全体を包装紙でくるみ、それを紙袋に入れて相手に渡すのが通例だ。だが個包装はもとより、何重にもものを包んで渡す文化がほとんどないドイツでは、そうした手土産が“もろ手を挙げて歓迎”されるわけではない。

 日本の高級菓子を受け取ったあるドイツの企業のスタッフが、こんなふうに語っていた。「何重もの包装が大量のゴミになってしまう。せっかく日本から持ってきてくれた手土産でも、正直言って喜べないのです」。

 私たちは、生活をより豊かなものにするために、あるいは、より便利なものにするために、さまざまな「工夫」や「サービス」を形にしてきた。プラスチックの利用もその一環だ。多くの産業が、豊かさや便利さを実現するために発展を遂げてきたわけだが、環境負荷の削減が世界共通の課題となる中、従来型の生産や消費のあり方も、もはやこれまでのままではいられないだろう。