(姫田 小夏:ジャーナリスト)
3月、上海市黄浦区の復興公園で2人の老人が激しい喧嘩をして、一人が耳を半分かみちぎられるという凄惨な事件が起こった。
上海では喧嘩そのものは決して珍しいことはないが、人々の耳目を集めたのは、流血の大喧嘩が老人たちによるものだったことに加え、喧嘩の原因が、ウクライナ戦争でロシアを支持するかウクライナを支持するかという意見の対立だったという点だ。
復興公園は100年以上前の租界時代に造られた7.3ヘクタールの大きな公園だ。公園を訪れるのは、子どもより老人の方が圧倒的に多い。復興公園のみならず上海の多くの公園では、太極拳や体操、社交ダンスなどに興じる高齢者の姿があちこちで見られる。
そんな平和な公園で起こった流血事件は、SNSを通して拡散された。おそらく最初はたわいもない会話をしていたのだろう。それがウクライナ問題に話が及んだことで口論となり、激しい喧嘩に発展したと思われる。耳を噛みちぎられた老人は入院し、噛んだ老人は刑務所に入れられたという。