新たにオープンした「龍山(ヨンサン)歴史博物館」

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 韓国・ソウルに新しい博物館がオープンした。その名は「龍山(ヨンサン)歴史博物館」だ。この博物館は、日本統治時代の1928年に建設された龍山鉄道病院(登録文化財第428号)を改修したものだ。韓国では、かつて鉄道建設に動員された労働者を治療する病院として使用されていた建物として伝わっている。

 龍山歴史博物館は地上2階、延べ面積2275平方メートル、収容人数490人、快適観覧収容人数100人規模の施設だ。歴史的建造物の価値を最大限に生かすため、HDC現代産業開発が2021年5月に改修工事に着手した。その結果、当時使用されていた外科治療室がそのまま残されるなど、赤レンガで風情のある外観が保たれた。

 HDC現代産業開発は、龍山区漢江路(ハンガンロ)一帯の1万772平方メートルを開発する「龍山鉄道病院敷地開発事業」を進めている。この歴史博物館とは別に、地上33階・地下6階、総戸数621戸の高層マンションや店舗などが建設される予定だ。これらは2022年下半期に着工される。

 HDC現代産業開発といえば、2021年6月の光州(クァンジュ)市の解体工事現場の崩落事故や、2022年1月に起きた高層マンション「アイパーク」の崩壊事故が記憶に新しい。

 3月23日に行われた龍山歴史博物館開幕式では、「今後はマンションを作るだけの会社ではなく、よりよい開発と運営事業を通して、地域と都市、そして人をも成長させる、人と地域のための社会的デベロッパーに成長していく」とHDC現代産業開発は述べた。この言葉からも分かるように、HDC現代産業開発は龍山開発に強い思いを抱いているようだ。

 韓国のメディアは、「博物館のリモデリングをしたのはHDC現代産業開発だ」と、同社を持ち上げる記事を掲載している。メディアも、HDC現代産業開発の取り組みに興味を示しているようだ。

 それでは、内部の様子を見ていこう。