ウクライナ軍のトルコ製UAV「バイラクタル TB2」(資料写真、2021年8月24日、写真:Abaca/アフロ)

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 ロシアの侵攻が始まってから、まもなく4週が経過しようとする中で、ウクライナ軍のUAV(無人航空機、ドローン)「バイラクタルTB2」(以下「TB2」)は予想以上の活躍を見せています。

 しかし、私を含めた専門家の多くはTB2自体への評価を変えていません。その理由は、ウクライナ上空に発生した環境が、予想とはかなり異なるものだった上、その運用がうまかったからです。

 私は2月10日にJBpressで「『バイラクタルTB2』無人攻撃機はロシア軍に対して有効か?」という記事を執筆し、TB2は癖の強い兵器であると指摘しました。TB2は長所と短所が極端であり、運用が難しいということです。今回の戦争では、ウクライナ軍が投入を控えたのか、初期にはあまりTB2の活躍の情報がありませんでしたが、戦闘が膠着し始めた頃から活躍情報が増えてきました。長所を活かし、短所を補う優れた運用が行われた結果です。

 以下では、現時点までのTB2の活躍を整理し、ウクライナ軍が優れた運用を行うことができた原因を考察します。また、TB2とそれ以外のドローンについても評価を行いたいと思います。

TB2活躍の成果は?

 TB2による直接の戦果や使用実績をまとめたデータは公開されていません。そのため、ニュースやツイッターなどの画像からTB2による撮影や攻撃だったことを推定しているわけですが、数多くの動画が公開されており、TB2の運用ができていることは間違いありません。