ロシア軍の地対空ミサイル「S400」(資料写真、2021年7月8日、写真:TASS/アフロ)

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 ロシアによるウクライナ侵攻は、ウクライナが果敢な抵抗を見せているもののロシアが徐々に占領地を広げ、首都キーウの包囲も間近と見られています。

 ウクライナ側が戦況を好転させるためには、何かしらの反攻作戦が必要です。まだその兆候は見られませんが、情報を総合すると、ウクライナ側がある狙いをもって準備しているらしいということが読み取れます。

 以下では、ウクライナ側の狙いを分析し、反攻の可能性を探ってみたいと思いますが、その前にこちらのシミュレーション(動画)を約10秒ほど見て下さい。シミュレーションの説明は後ほど行います。

(*)配信先のサイトで本記事の図表や動画、映像が表示されていない場合は、以下のJBpressのサイトでご覧ください。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69273

徐々に深刻化しつつあるロシア軍の弱点

 ロシアの侵攻が始まった当初から、ウクライナ国防省は、軍や郷土防衛隊に対し、ロシア軍の補給部隊を積極的に狙うように指導していました。これは、ウクライナ国内に侵攻することで伸びるロシア軍の補給線を叩くという、非常にオーソドックスな作戦です。補給部隊の防護力は少なく、移動速度が速いため、待ち伏せを行うためには最適であり、かつ強力な敵と正面から戦うことなく、ロシア軍の戦闘力を低下させることができるためです。