(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)
韓国大統領選挙がようやく終わった。個人的にはこんなにプレッシャーを感じる選挙は初めてだった。韓国人も誰を選んだらよいのか決めかねていて、「平井さんはどの候補を支持しているんですか」と聞いてくるのだ。
日本人であるうえに大学の教壇に立っているため、「韓国ではなるべく言葉に気を付けたほうがいいですよ」といった忠告をよく受ける。軽い気持ちで発した一言が誤解を招いて大事になるかもしれないというのだ。
それなのに、「どの候補を支持しているのか」という質問が容赦なく浴びせられた。
しかも事実上、正反対の対日政策を掲げる野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンヨル)候補と与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補の争いだったから、こちらに質問するのならもう少し神経を使ってほしいというのが本音だった。
学生たちの選挙結果への反応は?
投票日は、これでプレッシャーから解放されるという思いから、家の近所にある小洒落たカフェで、フランス風ハムのサンドイッチをかじりながら寛いでいた。昼下がりの春の日差しはそれまでの緊張感を芯からほぐし、まどろみを誘う。
だが、そうした私の安堵はすぐに打ち砕かれた。