(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)
台湾は、日本との深い縁(えにし)がある。今日はひとつ、その話をしたい。
なぜそう思ったのかというと、ロシアがウクライナに侵攻したからだ。ウクライナ危機という不幸な大事件は、日本が中台関係とどう対峙するかを考える上で示唆的なヒントを与えてくれるのだ。
とはいえ、ここではあくまでも台湾の話が主になる。ウクライナのことは最後にちょっとだけ触れるとしよう。
台湾東海岸部の開拓に取り組んだ賀田金三郎
たしか4年半ほど前だったと記憶している。台湾東部、花蓮市南部にある光復駅で私は列車を降りた。南国の焼け付くような夏の日差しが照りつける、眩暈がするような午後だった。
花蓮に多く住む阿美(アミ)族という台湾原住民の豊年祭がその晩に開かれるので、見物に来たのだ。予約した民宿を経営する播磨憲治さんに案内をお願いしていた。