(羽田 真代:在韓ビジネスライター)
日本ではあまり大きく報じられていないが、3月初めから、韓国では史上最悪の山火事が10日間にわたって発生していた。
3月4日に発生した山火事は、日本海側に位置する慶尚北道・蔚珍郡(ギョンサンプクト・ウルジングン)から江原道・三陟市(ガンウォンド・サムチョクシ)にかけて、広範囲にわたって広がった。3月13日にようやく鎮火したが、鎮火まで213時間43分もの時間を要した。この213時間43分という鎮火時間は、韓国の山火事史上最長である。
3月17日付けで報道されたニュースによると、被害金額は1300億ウォン(約125億円、山林被害:約1036億ウォン、公共施設被害:1193億ウォン)に迫るという。被害規模も過去最大となったそうだ。
韓国の著名人たちからは寄付金が相次いで寄せられている。在韓日系企業のホンダ、トヨタ、ユニクロなども多額の寄付をしたと報じられている。
2017年から始まった国民総出の日本製品不買運動によって打撃を受けた日本企業だが、不買運動と災害援助は切り離して考えているようだ。もちろん、有事に手を差し伸べることによって、韓国内における日系企業の悪いイメージを払拭しようという狙いもあるだろう。
ただ、11年前の東日本大震災の際、ソウル・衿川(クムチョン)区に集まった義援金1200万ウォン(約920万円)のうち、日本へ送金されたのは20%だけで、残り70%が独島(竹島の韓国名)守護活動団体と10%が戦争性被害者(元従軍慰安婦)団体に寄付されたという事実が筆者の脳裏に残っているだけに、日系企業の対応は素晴らしく、韓国人と日本人では思考が違うのだとも改めて感じる。