この発言から分かることは、中国は「盟友」であるはずのロシアに、完全に肩入れしているわけではないということだ。「ロシアが正しい」とは、一言も主張していないのである。むしろ、米ロの争いのレフリー役を演じようとしている。老獪な4000年の中国外交のなせる業だ。
ブリンケン長官、ウクライナ問題とともに「北朝鮮の核」でも中国に協力要請か
興味深いのは、王毅外相がブリンケン国務長官に、ウクライナ問題に関する中国の立場を述べた後の新華社通信の記述だ。ブリンケン国務長官が、アメリカと北朝鮮との最新の交渉状況について、王毅外相に説明したというのだ。そのことを踏まえて、王毅外相はこう述べた。
「朝鮮半島の核問題の核心は、アメリカと北朝鮮の問題だ。アメリカは、北朝鮮の正当で合理的な懸念を重視し、実質的に意義ある行動を取るべきだ。中国は、米朝の直接対話を主張している。合わせて引き続き、半島の核問題の解決の促進に向けて、建設的な役割を発揮していく」
このやりとりから窺い知れることは、ブリンケン国務長官はこんな調子で述べたのではないかということだ。
「いまからしばらく、われわれはウクライナとロシア問題にかかりっきりになる。その間、北朝鮮が新たな核実験やミサイル実験を強行して暴走することがないように、中国が圧力をかけてほしい」