官民連携で実現した「移動式脳ドックサービス」、車両内で受診する様子(出典:東員町Webサイト)

三重県東員町は官民連携の取り組みとして、磁気共鳴画像装置(MRI)搭載車両を用いた、出張型の脳ドックを提供するサービスの実証実験を昨年行った。民間企業との連携をスムーズに行えた背景を、水谷俊郎町長に聞いた。(JBpress)

※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「全国初「移動式脳ドックサービス」の実証実験 ~水谷俊郎・三重県東員町長インタビュー」を再構成したものです。

水谷俊郎:三重県東員町長
聞き手 小田理恵子:株式会社Public dots & Company代表取締役

 三重県の北部に位置する人口約2万6000人の東員町(とういんちょう)。鈴鹿山脈を望む自然豊かな土地でありながら、名古屋市から30km圏内にあり、利便性にも恵まれています。

 同町は「健康」に関する取り組みの一環として、2021年6〜7月にある実証実験が行われました。磁気共鳴画像装置(MRI)を搭載した車両を用いた、出張型の脳ドックを提供するサービスです。

 この実証実験は全国初の試みで、民間企業2社と連携して実現したものでした。インターネット上で利用予約を受け付けるなど、昨今の自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れも包含した取り組みでしたが、官民連携における庁内調整は驚くほどスムーズだったと聞きます。

 そこで今回は東員町の水谷俊郎町長に、「MRI搭載車両を使用した移動式脳ドックサービス」(以下、スマート脳ドック)の実証実験を行うに至った背景や、庁内での事前準備の様子を詳しく伺いました。

町職員に抵抗感はなかった

小田 東員町は昨年夏、民間企業2社(出光興産株式会社、スマートスキャン株式会社)と協働で、スマート脳ドックの実証実験を行いました。比較的新しい民間企業のサービスを受け入れ、実証実験にまで至ったのは、町にとって何らかのメリットをお感じになったからだと思います。その辺りのお考えを伺えますか?

水谷町長 東員町は2021年4月に「第6次東員町総合計画」を策定し、町内すべての取り組みの最上位計画と位置付けました。その重点施策の一つに「健康で暮らせるまち」があります。町内の誰もが健康に暮らせるように、予防医療の観点も含めて健康づくりを推進しています。

 今回のスマート脳ドックのお話をいただいたときは、町の大方針に沿ったものだと思いました。ですから、お引き受けしたという経緯があります。

小田 スマート脳ドックの車両を私も目にしたのですが、かなり大きな車だったと記憶しています(写真1)。

写真1 東員町総合文化センターの駐車場に置かれたスマート脳ドックの車両(出典:東員町Webサイト)