※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「共創をデザインする逆公募型プロポーザル、誕生(1)~(5)」を再構成したものです

(伊藤大貴:株式会社Public dots & Company代表取締役)

 逆公募型プロポーザル。この言葉を聞いて、そのイメージをパッと掴める人は少ないかもしれません。逆公募型プロポーザルを一言で表すと、「ある社会課題に対して、最も優れた解決策・アイデアを企画、提案した自治体に対して企業が資金を提供する仕組み」です。社会課題を設定し、資金を提供するのが企業。設定された社会課題に対して政策的アプローチを提案するのが自治体です。最も効果的あるいはユニークな政策を考え出した自治体に対して、その資金を「寄付受納」という形で提供することを考えています。

従来型の公募プロポーザルと逆方向の「逆公募型プロポーザル」
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 従来の公募型プロポーザルとお金や意思決定のベクトルが逆になるため、“逆公募型”プロポーザルと名付けました。「税制優遇があるわけでもない逆公募型プロポーザルに関心を持つ企業なんてあるのか」「企業にとってどんなメリットがあるのか」、さまざまな疑問が頭に浮かんだと思います。

 ところが、あるのです。利益追求一辺倒ではなく、それでいてCSR(企業の社会的責任)、CSV(共通価値の創造)だけの視点でもない、企業にとってのメリット。そして、当然自治体にも。

行政フルセット主義の時代は終わった

 逆公募型プロポーザルを開発したのは、官民共創をデザインする、私たち株式会社Public dots & Companyと大手IT企業の株式会社スカラ。同じ東京・渋谷を拠点にする企業です。一見、企業版ふるさと納税に近い仕組みに見えるかもしれませんが、そうではありません。その仕組みについては後ほど詳述しますが、まずはこのプロジェクトが生まれた背景や社会的な意義、企業・自治体・住民の三方にとってのメリットについて解説します。逆公募型プロポーザルは自治体と企業の本格的な共創時代の幕開けになるかもしれません。

 まず、今の自治体を取り巻く環境を整理してみましょう。いうまでもなく、少子化と高齢化、加えて都市部への人口集中という時代の大きなトレンドにあって、従来のように自治体がすべての政策、公共サービスを自前主義で担うことには限界が来ています。総務省の下、議論を重ねてきた自治体戦略2040構想研究会が「人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどう構築するか」と題して、第二次レポートを発表したのが2018年7月のことでした。