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企業が取り組みたい社会課題に対して公募を行い、自治体がアイデアを応募する。通常の公募プロポーザルとは役割が逆の「逆公募型プロポーザル(逆プロポ)」という仕組みで、公募第1号となったのがイーデザイン損保のプロジェクトだ。企業側はどのような意図でそれを利用したのか。イーデザイン損保と一緒にプロジェクトを推進している東京海上グループの若手有志団体「Tib」の寺﨑夕夏代表に、逆プロポの運用サポートを行う株式会社Public dots & Companyの伊藤大貴氏がインタビューした。(JBpress)

※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「自治体と企業の新たな共創関係を築く「逆」公募型プロポーザル」を再構成したものです。

(寺﨑夕夏:東京海上グループ若手有志団体Tib代表)
(伊藤大貴:株式会社Public dots & Company代表取締役)

 自治体側が出す「お題」に対して、民間企業が手を挙げる。従来型公民連携の手段である公募プロポーザルの仕組みを「逆」にしたのが、逆公募型プロポーザル(以下、逆プロポ)です。

 この第1号プロジェクトに手を挙げたのが、イーデザイン損害保険株式会社(以下、イーデザイン損保)でした。

 この記事では、イーデザイン損保と一緒にプロジェクトを推進している東京海上グループの若手有志団体「Tib(ティブ)」の寺﨑夕夏代表へのインタビューを通じて、「逆プロポ」が自治体と企業の双方にどのような恩恵をもたらすのかをお伝えできればと思います。

アイデアの実行費用は企業が自治体に寄付する形

 逆プロポで百八十度転換するのは、「アイデアとお金の流れ」です。従来の公募プロポーザルで自治体サイドが担っていた「テーマ設定(解決したい課題)」を、逆プロポでは民間企業が行います。つまり、企業サイドが関心のある社会課題を提示し、それに対して自治体がアイデアをエントリーするという仕組みです。

 そして、採用となったアイデアの実行予算は企業が自治体に対して寄付します。1プロジェクト当たり100万円と上限は設けていますが、手応えのある新規事業開発やCSR(Corporate Social Responsibility、社会的責任)の展開を希望する企業にとって、自分たちだけでは手が届かなかった社会課題(自治体の生の声)を得る貴重な機会となるため、お金を掛ける価値はあります。

 そして自治体側は、現状の財政を圧迫することなく、地域課題解決のための事業を行うことができます。

 以上が逆プロポの概要ですが、おそらくこの記事を読んでいる方の中には「そうは言っても、仕組みや役割が逆になれば現場も混乱するはず。一体どのように話がまとまったのか?」と思われる方もいるでしょう。

 そんな、プロジェクト成立までのプロセスについては、この先のインタビューでしっかりと語られています。社内協議の様子やエントリーした自治体の温度感など、ぜひ本稿から臨場感を得ていただければと思います。(聞き手=Public dots & Company代表取締役・伊藤大貴)

逆プロポの仕組み1
逆プロポの仕組み2

「逆プロポ」公式ページはこちら(https://gyaku-propo.com/