北京五輪の開会式で聖火の点火者を務めたウイグル族のジニゲル・イラムジャン選手(左)と漢族の趙嘉文選手(2022年2月4日、写真:CTK Photobank/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 2月1日の衆院本会議で「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」が賛成多数で議決された。

 だがこの決議、すこぶる評判が悪い。日本共産党の志位和夫委員長は、「反対する理由がなかったから賛成したが、決議としては大変不十分だった。何よりも人権侵害に対する正面からの批判がない」と語っている。日本維新の会遠藤敬国対委員長も「中国の国名が書いていないことは誤ったメッセージになり得る。きちんと記載しないと意味がない」と批判している。この決議は「中国」という肝心要の主語がない文章なのである。

 例えば決議には、「本院は、深刻な人権状況に象徴される力による現状の変更を国際社会に対する脅威と認識するとともに、深刻な人権状況について、国際社会が納得するような形で説明責任を果たすよう、強く求める」とある。誰に強く求めるのかが書かれていない。これでは中国は痛くも痒くもない代物なのだ。

公明党への配慮で骨抜きに?

 2月2日付の産経新聞は、「決議は自民、公明両党の執行部によって骨抜きにされてしまった。弾圧に苦しむ人々にもっと寄り添うべきだったのに、弾圧の張本人である中国政府に忖度(そんたく)したのは情けない」(主張欄)と当然の批判を行っていると同時に、なぜ骨抜きになったのかを詳報している。