ハンギョレ新聞によれば、今月31日に韓国で李在明、尹錫悦の両大統領候補による初のテレビ討論会が行われる予定だという。どのような内容になるのか原稿執筆時点の30日の段階では不明だが、仮にこれが実現しなくても来月大統領選挙が公示されれば、より公式な討論会は開催される。それがより正常な大統領選挙に戻るきっかけとなることを期待せざるを得ない。

急展開に次ぐ急展開

 大統領選のこれまでの情勢を振り返ってみよう。

 昨年11月、与野党が大統領候補を決定した後、12月第3週まで「国民の力」の尹錫悦候補の支持率は40%を超え、「共に民主党」の李在明氏に圧倒的なリードをつけていた。

 しかし、尹錫悦氏と「国民の力」代表・李俊錫(イ・ジュンソク)氏とが対立し、12月21日に同代表は選対共同委員長からの辞任を表明。この一件があった後の1月4~6日に韓国ギャラップが行った世論調査では、劣勢だった李在明氏の支持率が36%へと上昇し、尹錫悦氏に10%の差をつけることになった。このとき、「国民の党」の安哲秀氏候補の支持率は15%であった。

 支持率が大きく動いたのは、若年層の意識に変化が出たからだった。リアルメーターが3~4日にかけて行った18歳から39歳の男女を対象とする世論調査では、共に民主党の李在明候補が33.4%、国民の党の安哲秀候補が19.1%の支持を獲得、尹錫悦氏は18.4%で3位に転落してしまった。李在明vs尹錫悦という事実上の一騎打ちかと思われた選挙戦だったが、安哲秀氏が現実的な選択肢に浮かび上がってきた。

 しかし、尹錫悦氏が李俊錫代表との関係を修復した後、尹錫悦氏の支持率が再び李在明氏に逆転した。リアルメーターが16~21日にかけて行った調査によれば、尹錫悦氏42%、李在明氏36.8%、安哲秀氏10.0%となっている。韓国ギャラップが28日に発表した調査結果では、尹錫悦氏と李在明氏が35%で同率、安哲秀氏は15%と差をつけられている。

1月24日、党本部で会見を開き公約を発表する尹錫悦氏(写真:REX/アフロ)

 一時、尹錫悦氏と安哲秀氏については、どちらかに候補を一本化しないと勝てないのではないかと見られていたが、現在の趨勢を見ると、尹氏単独で戦う可能性も十分あるだろう。