高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は文在寅政権の検察改革の中で設置された(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(金 愛:フリージャーナリスト)

 韓国の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が、ジャーナリストや政治家、民間人の通信資料を照会していたことが明らかになり、国家権力による個人情報の収集が問題視されている。

 その中には日本の主要メディア3社のソウル支局記者も含まれており、日本メディアは明確な理由を求めているが、公捜処の返事は曖昧だ。無分別な通信照会は、国民の基本的人権を侵害する行為である。日本メディアは公捜処の行動を民主主義国家の没落と批判するが、当事国である韓国メディアは報道に消極的だ。

 文在寅政権の検察改革の中で設置された公捜処は、中国や北朝鮮の刑事捜査部に似ていることから、親中・従北の文在寅政権の正体を見せたと批判されている。

 東京新聞は昨年12月31日、公捜処がソウル支局の職員の情報を照会したと報道した。対象となった東京新聞支局員は韓国人で、同月24日、自身の情報に対する捜査当局の照会記録を請求し、30日に結果を受け取った。朝日新聞も同様に、記者が照会を受けたと報道。同紙ソウル支局の韓国人記者が7月と8月の計2回、氏名、住民登録番号、住所、携帯電話の加入日の照会を受けたという。

 さらに先月4日、毎日新聞は「公捜処が自社ソウル支局の韓国人記者1人の個人情報を収集したことが確認された」と報じた。公捜処による、日本メディアのソウル支局に所属する韓国人記者の個人情報収集がたびたび確認されている。

 各メディアは「新聞社は取材源を保護する義務があり、言論の自由を脅かす恐れがある」として、個人情報を照会した理由を質したことを明らかにした。

 1月13日、東京新聞の記者は「アジア経済」のインタビューで、「朝日新聞、東京新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞の少なくとも5カ所以上が公捜処の通信記録照会を受けた」と答えている。日本メディアの記者が通信照会に合うのは極めて異例で、日本メディアは敏感に反応している。