(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
経済産業省は1月25日、「ガソリンや灯油などの燃料価格を抑制する対策を27日に発動する」と発表した。24日時点のレギュラーガソリンの店頭価格(全国平均)が1リットル=170.2円と約13年ぶりの高値となったからだ。
対策の中身は、石油元売り会社に対して1リットル当たり3.4円の補助金を出して卸値を抑え、給油所での小売価格の上昇に歯止めをかけるというものだ。
補助金の額は原油価格の変動に応じて定期的に見直すとしている。補助の上限は5円である。今年(2022年)3月末までのガソリン価格を1リットル=170円程度に抑えることが狙いだ。軽油や灯油、重油の価格についても同様の取り組みを行う。
経済産業省は「価格抑制の効果があらわれてくるのは1~2週間後」としている。だが、ガソリンの小売価格は給油所ごとの在庫や販売数量などを踏まえて決定されるため、目に見える効果が出るかどうか疑問視する声が早くも上がっている。
日本のガソリン価格の約半分は税金が占める。野党からは「ガソリンにかかる税金を一時的に引き下げる『トリガー条項』の凍結を解除すべきだ」との主張が出ていたが、政府部内では脱炭素を目指す上でガソリン価格の大幅引き下げに慎重論が根強く、苦肉の策として本対策が浮上したと言われている。