このうち台湾の離島奪取を示唆した環球時報の社説は11月26日の電子版『環球網』で公開されたもの。主題となったのはマーク・タカノ氏ら米国下院議員(民主、共和両党)計5人を含む一行が11月25、26日に台湾を訪れた件だ。

 台湾の中央通信社などによると、一行は26日、馮世寛元国防部長(国防相に相当)と会談したのに続き、総統府で蔡英文総統とも会談。今年に入って3組目の米議員の訪台で、中国が軍事的圧力を強めるなか、地域情勢の安定や米台関係強化などについて意見交換があったとされ、蔡総統は「米国と協力を強め共に民主主義を守る」と強調した。タカノ氏も「台湾は民主化のサクセスストーリー。頼りがいのあるパートナー」などと語った。

 この会談に関し、同社説は「米議員の軽率なパフォーマンスに台湾当局は代価を支払わされる」と題し、民進党政権の「台独」(台湾独立)が前進し、米台が結束を深めれば「より厳しい軍事行動をとる必要」があり、「台湾の離島が(中国)大陸に解放される」事態もあり得ると主張。中国軍による台湾の離島の金門島、馬祖島、澎湖諸島をはじめ、多くの軍事専門家が懸念する東沙諸島の占拠を暗に示唆した。実は同紙は3月、中国による台湾の離島奪取を否定する見解を示していたのだが、米台接近を前に先の見解を翻したかっこうだ。

「米議員の軽率なパフォーマンスに台湾当局は代価を支払わされる」と題した環球時報の社説

台湾に接近するバルト3国をこき下ろし

 米議員団に続き、リトアニアをはじめ、エストニア、ラトビアの「バルト3国」の国会議員ら10人も11月28日、台湾を訪問。同29日には総統府で蔡英文総統と会談し、蔡総統は台湾とバルト3国がそれぞれ中国とロシアからの脅威にさらされていることを念頭に、「権威主義の拡張と偽情報の脅威」に懸念を示し、「ともに民主的で自由な生活様式を守っていきたい」と協力を呼びかけ、マルデイキス議員団長(リトアニア)も「自由と、ルールに基づく国際秩序の維持は、双方にとって重要な利益」と応じた。

 すると、これら議員団の訪台に合わせるかのように、28日には中国軍機延べ27機が、台湾の防空識別圏(ADIZ)に一時進入しており、台湾の国防部(国防省に相当)が同日、発表している。

 バルト3国は台湾と正式な外交関係を結んでいないものの、最近は新疆ウイグル自治区でウイグル族への人権弾圧などを理由に中国と距離を置き、台湾に接近。特にリトアニアは「台湾」の名称を冠した窓口機関(大使館に相当)の開設を認めたばかりで、これに反発した中国からは、外交関係を大使級から臨時代理大使級に格下げするといったリアクションがあった。