ハリウッド席巻「ワインスタイン効果」

 今米国では女性に対するセクハラ追及はとどまるところを知らない。

 セクハラの「最重罪」は未成年者に対する性的暴行だが、「身の危険を相手に感じさせるようなDVなどは殺人未遂相当の犯罪」(心療内科医のメイラ・メンデス博士)とみなされている。

「虚栄の都・ハリウッド」のセクハラはプロデューサーたちによる女優へのパワハラを伴う。

 加害者が有名人で高額所得者であることや名誉棄損が絡むことが少なくない。そうしたことからこれまで多くのケースが巨額の慰謝料を払うことで決着してきた。

 ところが、ミラマックス社設立者としてハリウッド映画界の超実力者だったハーヴェイ・ワインスタイン氏(69)が、女優など多くの女性に対しセクハラや性的暴行を長年行っていたことが2017年秋、明るみに出た。

 公の場での判決ですべての役職をはく奪され、禁固23年の刑を言い渡された。目下服役中だ。

 同事件は「ワインスタイン効果」と命名され、セクハラを受けていた女性たちがセクハラ追及の狼煙を上げる「MeToo運動」と呼ばれる社会現象を引き起こすきっかけになった。

 果たして「ミナマタ」は米国内で上映されるのだろうか。

 デップと共にこの映画の共同プロデューサーになっているアンドリュー・レビタス氏(44)は、MGMのウルマン副社長にこう直訴した。

「世界中で賞賛されているこの映画が、出演している俳優の個人的な問題が悪影響を与える可能性があるとの理由で、米国では上映できないでいる」

「MGMが、水銀中毒の犠牲者やその家族は二の次だという見解によるものと解釈されても致し方ない」

「この考え方は、水銀を長期にわたって垂れ流したチッソの道義に反する手口と何ら変わりない。俺たちは法的義務は守っているだけだという言い訳に過ぎない」

「MGMはそうすることで罪のない人たちを(チッソと同じように)傷つけ、犠牲者の命、レガシー、(社会の不正義に立ち向かった)勇気を踏みにじるものだ」

https://www.ekathimerini.com/culture/1170368/the-minamata-project-hope-through-despair/