人々の不満をそらすための台湾侵攻

 中国のバブル崩壊は一億総中流だった日本が経験したバブル崩壊とは趣を異にする。そこには日本以上に強烈な怨嗟の声が存在する。それは民衆の暴動に発展する危険性がある。そんな状況の中で、底辺の人々不満をそらすために習近平が「台湾侵攻」を実行する可能性も排除できない。

 冷静に考えれば、中国にとって「台湾侵攻」は成功しても国際的な孤立を招くだけであり、得るものはほとんどない。しかし不動産バブルの崩壊によって国内が混乱すれば、不満をそらす手段として、台湾侵攻が合理性を持つ政策になる可能性もある。

 昨今、習近平が真剣な表情で「台湾統一」と言っている事実を軽視すべきではない。平和的に統一するとは言ってはいるが、独裁者はいつも「平和的な手段を採る」と言う。だが、それがうまくいかないと分かると武力に訴える。これは歴史の教訓である。

 恒大集団に始まった不動産バブルの崩壊は「台湾侵攻」と中国の孤立化という思わぬ方向に発展する可能性を秘めている。独裁政権が作り出したバブルは日本のように平和的に崩壊させることが難しいのかも知れない。

 歴史は誰もが予期していなかった方向に流れ始めることがある。そうなると誰にも止められない。今後の中国の動向は目を凝らして見てゆく必要がある。