9月16日に中国が環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への加盟を正式に申請してから2週間が過ぎた。その1週間後の9月23日には、台湾も加盟申請している。日本では、加藤官房長官が「中国の加盟はルールに則って進める」「台湾の加盟は歓迎する」と述べたが、両者の扱いの違いは鮮明だ。
また、自民党の政治家や元官僚、テレビのコメンテーターなどが、「中国はCPTPPのルールをクリアできないので加盟できない」「CPTPPはもともと中国包囲網のためのものだ」などと、対中強硬姿勢を表明している(これは、筆者がYouTubeや新聞電子版等で得た情報に限られる点をご了解頂きたいが、恐らく今の日本の代表的な意見だと言えるのではないか)。
一方、TPPを作ろうとした本家本元の米国では、シンクタンクやメディアが、トランプ政権でTPP離脱した後、バイデン政権になっても加盟の動きを見せなかったために後手に回った、と嘆くような論調にある。
ただ、茂木外相が9月22日から、菅首相が9月24日から訪米しており、CPTPPついて首脳会談(茂木外相はブリンケン国務長官と会談)で触れたことは本人などの発言でわかっているが、バイデン政権は特にコメントをしていない。つまり、今の米国はトランプ政権の時と同じく、TPPには興味を持っていない印象がある。
日本の報道を見る限り、大方の意見は、CPTPP加盟国のうち、少なくともオーストラリアとメキシコが中国の加盟に厳しい態度をとるだろうから、中国の加盟はほぼ不可能というものだ。果たしてそうなのだろうか。