中国のTPP加盟申請がもたらす影響は?

「中国がアジア太平洋地域で主導権を握るのを、ジョー・バイデン大統領は黙って見ていてはいけない」

「だからバイデン政権はCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的かつ進歩的な協定=Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)に再び加盟して、リーダー的役割を担わなくてはいけない」

 米首都ワシントンのシンクタンク研究員は筆者にはっきりした口調で、米国のCPTPPへの加盟の必要性を述べた。

 再び議論が活発化してきたTPP(環太平洋パートナーシップ)問題。冒頭の発言内容を少し補足させていただくところから当稿を始めたい。

 TPPは2008年、ジョージ・W・ブッシュ大統領が音頭を取って始まった。

 環太平洋諸国の小さなグループ(4カ国)での貿易協議を拡大し、オーストラリア、ベトナム、ペルーなどを加え、さらに協議が進む中で日本やカナダ、マレーシア、メキシコ、そして米国が入った12カ国の枠組みで開始される予定だった。

 スタートすれば世界経済の40%をカバーする世界最大の自由貿易協定になっているはずだった。

 ブッシュ政権からオバマ政権になってもTPPへの希求は続いた。バラク・オバマ大統領だけでなく、ヒラリー・クリントン国務長官も米国は戦略的ピボットを行って、外交の重心をアジア太平洋地域に移すべきとの立場だった。

 バイデン副大統領も当時は、TPP支持派だった。