既に2年近くが経過した未曽有のコロナ危機。世界各国で人々の健康や経済への悪影響が出ている。その中でも北朝鮮は、同国の特殊な事情によって輪をかけて問題が複雑化している。長期化する国境封鎖に強制力の強い住民の移動制限、食料品や生活必需品の不足と住民の生活は逼迫する一方だ。
弱い立場の人はますますないがしろにされ、不利な状況に置かれているが、とりわけ大きな影響を受けているのが女性たちである。北朝鮮の女性がどういう状況にあるのか。脱北者でNK知識人連帯代表の金興光氏が報告する。
◎金興光氏の過去の記事はこちら(https://jbpress.ismedia.jp/search?fulltext=%E9%87%91+%E8%88%88%E5%85%89)をご覧ください。
(金 興光:NK知識人連帯代表、脱北者)
多くの住民が辛苦にあえぐ北朝鮮体制にあって、女性は筆舌に尽くしがたい苦労を強いられている。
もともと北朝鮮のように極度の貧困が常態化している国では、何か事が起これば、男性よりも女性に大きな負担がかかる。それが戦争であれば、男性が担う役割も多くなるが、今回のようなパンデミックでは、衛生管理や感染予防、患者の世話はもちろん、栄養摂取や家事全般が女性の仕事としてのしかかる。
北朝鮮の女性たちは、こういった日常の負担だけでもつらい思いをしている。それにもかかわらず、コロナで拍車がかかった理不尽な独裁体制や身近な男性の横暴に耐えながら、日々の生計の維持や日用品の手配など、生活のあらゆることに気を使わなければならない。その過酷さのあまり、病にかかったり命を落としたりする例も続出している。
下の写真は最近、北朝鮮で撮影されたものだ。コロナ禍の中、北朝鮮の女性たちが置かれた悲惨な状況がよくわかる。写真の中の女性は北朝鮮の普通の女性であり、子を持つ母親や軍人もいる。その姿に、今の北朝鮮における女性の地位や、彼女たちが置かれた状況の一端を垣間見ることができる。