米国務次官・V.ヌランドが、本年中にロシアを訪問する可能性が出てきた、と露紙が報じている*1。
米国は目下、対中関係問題での備えに追われている。そのさ中にヌランドを本当にロシアへ派遣するなら、ウクライナ方面で事を荒立てて米国が乗り出す事態を招くようなことだけは控えろ、と6月の米露首脳会議に引き続いてロシアに念を押す意図でもあるだろう。
ヌランド本人が現在のウクライナをどう考えてしているのかは分らないが、ロシアから見れば、彼女は2014年のマイダン革命を惹き起こした張本人である。ウクライナへの関心が薄れているとは受け止められていないはずだ。
ならば、そのヌランドが以前同様の説教を改めて垂れるだけなら、ロシア側には何も響くまい。
だが、米軍のアフガン撤退とその手法に対して、各方面から向けられている昨今の批判からは、内向きの姿勢に転じた米国の勝手な撤退が他地域でも起るのでは、といった懸念も出されている。
手を引かないまでも、米国の対ウクライナ政策がそれらの批判と無縁ではいられず、ヌランドが従来の姿勢を多少なりとも変える可能性もあるいは・・・。
そう思うのも、アフガン絡みの批判を眺めていくと、その失敗の本質と2014年以降の米国の対ウクライナ政策との間に、何やら似通ったものが見出せるからである。
既に多々報道されてきたように、過去20年間にわたる対中東政策が、結局は何の成果も生まず、時間と巨額の費用を無駄にしただけと米国は難詰される。
それだけではない。当初の意図が何であれ、その政策が世界の対立を拡大させ、「専制主義の伸長を招いた要因の一つは米国の対テロ戦に伴う戦争だった」とまで糾弾されている*2。
その失敗に到った背景についても、中東の歴史や現状に深い注意を払うことなく、専制を倒せば民主主義が自ずと生まれる、と楽観的に考えたのではないかとみられている。