(姫田 小夏:ジャーナリスト)
新型コロナウイルスの感染拡大で大きな被害を受けたアジア・太平洋の観光業だが、ここにきてタイ・プーケット島など一部の島嶼が観光ツアーを再開させている。台湾や香港でも、市民の海外観光熱が高まっている。
「少し前まで、プーケット島はほとんどの店舗がシャッターを下ろしていました」と語るのは、タイの首都・バンコクに住む古屋浩泰さんだ。観光業がGDPの約2割を占めるタイは、2019年に3980万人の外国人観光客が訪れたが、翌年は670万人と前年比17%にまで落ち込んだ。
だが、そんな最悪の状況から脱しつつある。タイ政府が7月1日から「プーケット・サンドボックス」と呼ぶ観光振興策を実施したのだ。
プーケット・サンドボックスは、「新型コロナ・ワクチンを接種済みであれば、隔離期間を設けずに入国できる」という、プーケット島の観光再開プログラムだ。プーケット島の居住者は全員がすでに2回のワクチン接種を完了しているため、ワクチン接種済みの観光客ならば島内を自由に移動することができる。観光当局は、7月1日から9月末までに10万人の外国人観光客が訪問すると予測している。