新型コロナウイルス感染症第5波では、感染力の強いデルタ株により、これまでになかった感染経路が増えてきている。保育園で子供が感染し、そこから妊婦に二次感染した事例について、当事者となった集中治療医に讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が訊く。連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第63回。

保育園でクラスターが発生

 デルタ株の感染力は強く、今までにない感染の広がり方が報じられています。たとえば、デパ地下のクラスターや大型商業施設のフードコートでの感染・・・。私の周りでも、初めて聞くような感染が起こりました。

 8月上旬、面識のある集中治療医Aさん(関東地方のある基幹病院に勤務。30代半ば)のご家族が感染しました。感染したのは4歳の息子さんと妊娠中の奥様です。家庭内感染の原因は息子さんが通園していた保育園で発生したクラスターでした。Aさんは、「参考にしていただくことで少しでも社会の役に立てれば」と、インタビューに応じてくださいました。

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讃井 ご家族は3人ですか?

Aさん はい。妻と4歳になる息子と3人で暮らしています。妻は妊娠中で27週目。10月末に出産予定です。

讃井 みなさん感染には気をつけていた?

Aさん 特別に何かをやるというわけではありませんが、一般的な感染予防策を家族としてふだんから意識してやっていました。マスク・手洗いをきちんとする、外食しない、人の集まるところはなるべく避ける、といったことです。とはいえ、妻は妊娠していたので相当用心していました。第5波で急激に感染が拡がった7月以降は、できるだけ外出も控えるようにしていました。息子はまだ小さいので難しいですが、毎月送られてくる通信教育教材の中に手洗いの大切さなどをアニメで説明するDVDがあって、それで4歳なりに理解してくれているようです。私も息子と一緒に見たのですが、子供がヘルス・リテラシーを養えるようなよくできたアニメでした。