変異ウイルスが子供への感染を広げている!? 子供の感染リスクの報道が増えてきている。だが、正しい情報をもとに正しく恐れる必要があるのではないだろうか。国内小児新型コロナウイルス患者の調査にあたっている勝田友博医師(聖マリアンナ医科大准教授)に讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が訊く。連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第57回。
「子供は新型コロナウイルス感染症に感染しにくい」「変異ウイルスによって子供もリスクが高まっている」「感染しても大半は無症状」「子供にワクチン接種は必要ないのでは?」など、小児の新型コロナ感染症についてさまざまな情報が飛び交っています。
(注)「小児」とは:新生児から青年まで、一般的に20歳ぐらいまでが小児科の対象とされる。FDA(アメリカ食品医薬品局)では、22歳未満を小児と定義している。
いったいどの情報が正しいのか、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。本連載では、これまでも正しい情報をもとに正しく恐れましょうと繰り返してきました。そこで、小児の新型コロナ感染症について現在までにわかっている科学的・客観的知見を、聖マリアンナ医科大学小児科学教室の勝田友博准教授に2回にわたって教えていただきます。
◎勝田 友博(かつた・ともひろ)氏
日本小児科学会専門医指導医・日本感染症学会専門医指導医・日本小児感染症学会暫定指導医。2001年聖マリアンナ医科大学卒。日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会が行っている国内小児新型コロナウイルス感染症患者のレジストリ調査の実務を担当している。
患者の増加率は成人のほうが断然高い
讃井 まず、現在までどれぐらいの小児が新型コロナに感染したのかからお話しください。
勝田 厚労省が発表しているデータ(6月16日18時時点速報値)によれば、現在までに約8万3000人の小児(20歳未満)の陽性者が国内で報告されています。その内、10歳未満が約2万6000人、10代はその倍以上で約5万7000人。全体に占める割合は、10歳未満が3.4%、10代が7.5%で、合わせて10.9%となっています。