写真はイメージです(写真AC)

新型コロナウイルス感染症の流行は、コロナ以外の発熱についても病院にかかりにくいといった影響を与えている。悪化したアクセスの実態とは? コロナとは別の感染症に罹った本連載担当者に讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が訊く。連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第59回。

 新型コロナウイルス感染症の感染がふたたび急拡大しています。現在は重症患者数の増加は顕著ではなく、医療体制が逼迫しているわけではありませんが、感染力が強く重症化もしやすいとされる変異ウイルスは脅威です。今後医療が逼迫してくると、通常の診療ができなくなる可能性もあります(第33回第34回参照)。また、医療体制に余裕があるといっても、コロナ以前と比べれば一貫して医療へのアクセスが悪くなっています。 

 6月半ば、本連載の構成をしている鍋田吉郎氏が「蜂窩織炎」(ほうかしきえん:皮下組織に細菌が感染し、炎症が起こる病気)という感染症に罹って発熱、入院しました。その時、どのような“アクセスの悪さ“を体験したのか、新型コロナ感染症の不安とあわせて具体的な話を聞いてみました。

コロナの症状はなかったが自己隔離

讃井 最初はどんな症状が出たのですか?

鍋田 起床して数時間後、まず悪寒を感じました。熱をはかると38.3度。これまで、風邪などめったに引いたことがなくて、発熱しても水分をとって布団にくるまって汗をかけば一発で治ったので、今回もそのようにしました。ところが、翌日になっても熱が下がりませんでした。