これでは日本の戦略情報発信の強化という設立目的が果たせない。

 現代は情報戦・宣伝戦の時代である。ハードウエアの戦いの前にソフトウエアの闘いがあり、それによって勝敗が決する時代である。

 ナチスは宣伝を武器として勝利してきた(ヴィリー・ミュンツェンベルグ著『武器としての宣伝』)し、現代はさらに政治宣伝が多用されている(澤田正浩著『政治宣伝』)。

 東京2020五輪は震災復興ばかりでなく、素の日本を見てもらう絶好の機会でもあったが、コロナ禍で入国禁止と無観客になってしまった。

おわりに

 8月8日のオリンピック閉会式の日には、韓国のオリンピック委員会も兼ねる大韓体育会が五輪会場での旭日旗使用を国際オリンピック委員会(IOC)と協議した結果、「政治的な宣伝活動を禁じる五輪憲章50条を旭日旗にも適用するとの決定を書面で受け取った」と明らかにし、李起興(イギフン)会長は「今後の大会でも適用される」と語っている。

 ところが翌日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長が「(使用禁止は)事実でない」と否定した。

 李会長の発表を受けて組織委員会がIOCに事実確認をしたもので、IOCは「今までのスタンスと変わらず、ケース・バイ・ケースで判断する。一般的に禁止していない」、「韓国側にも文書で通達した」と回答したという。

 205か国・地域から選手団が参加する国際イベントは最大の日本糾弾チャンスと韓国が見たことは確かであろう。

 しかし、根も葉もないことを勝手に捏造されてはたまらない。

 慰安婦に始まり、徴用工、軍艦島、そして五輪においては無罪の日本を有罪とする冤罪を着せられてきた。

 相手に言っても詮無いことである。日本が情報の重要性と戦略的情報発信能力を高める以外にないであろう。