しかし、大衆的な知名度や人気の一方で、これまで補欠選挙を含む3回の国会議員選挙においては3戦全敗という弱点を持つ。ところがこれが、36歳という若さとともに「議員経験のない最初の党代表」という強いインパクトとなり、「新しい保守野党」「保守の改革」を国民にアピールする象徴的な存在として十分な効果を発揮している。
「若い党代表」と「前検察総長」のコラボのなせる破壊力
他方、李代表の代表選出の話題が少し落ち着き始めた6月末、これまで文在寅政権ともっとも激しく対立してきた前検察総長の尹錫悦氏が来年3月の大統領選挙に出馬することを宣言した。文政権と対立し、政権から厳しい弾圧を受けた尹氏は出馬宣言と同時に支持度調査で1位に浮上。さらに、7月30日には保守野党である国民の力に入党したことで、政界には地殻変動が起こった。大衆的な人気は十分だが、政治経験や組織力、資金力といった面で不安要素を抱えていた尹氏は、第一野党に入党したことでこれを補い、力強い後ろ盾を得たのである。
もちろん、入党後は党内での候補者選出の競争があり、その結果を待たなければならないが、もし、尹氏が第一野党である国民の力の公式候補となれば、その破壊力は間違いなく、文政権にとってはものすごい脅威となるだろう。そうでなくても上昇機運にあった野党に、やはり国民的人気の高い尹氏が加わったのだから、その相乗効果は計り知れない。
実際、6月に大統領選出馬宣言をした後の支持率調査で1位に選ばれていた尹氏は、7月に入り徐々にその支持率が下がり始め1位の座を与党「共に民主党」の李在明京畿知事に譲っていたが、野党入党後には再び1位に返り咲いた。保守層の支持が尹氏に集まっているのだ。
だが、このような明るいニュースに沸く保守野党には、致命傷になりうる一つの懸念材料が噴出している。朴槿恵前大統領「赦免説」である。