世論は「赦免賛成」が多数でも、文大統領が簡単に決断できない理由

 朴範界(パク・ボムゲ)法務部長官は赦免の計画はないと可能性を否定した。しかし、赦免を求める声はもはや保守層だけのものではない。今年5月、朴槿恵元大統領に対する「赦免」についての世論調査では賛成(53%)が反対(45%)を上回る結果となった。国民の半分以上は「もう十分だろう」と思っているのだ。

 それでも、文政権にとっては赦免が「賭け」であることは間違いない。少なくともそこに致命的なリスクがあることは見逃せない。

 万が一、赦免され釈放された朴槿恵前大統領が、李代表や尹錫悦前検察総長を支持することを表明し、保守の団結を訴えるなら、彼女はもう一度保守野党のジャンヌ・ダルクとなり得るだろう。文政権の立場から言えばとんでもない逆風にさらされることになる。

 とはいえ朴槿恵前大統領にとってみれば、特に尹前検察総長は許しがたい存在であること明白だ。だが、万が一、万が一だが、朴槿恵が私怨を過去のことと水に流し、保守野党の団結を訴えるなら、これ以上文政権に脅威となるものはない。このリスクを考えれば文大統領も決断は簡単ではないだろう。それだけ朴元大統領の赦免は来年の大統領選挙に大きな影響を与えられる破壊力を持っているということだ。

 在任中には「加害者と被害者の立場は千年経っても変わらない」と力説していた朴前大統領である。もしも赦免されたなら、尹前検察総長や李党代表を含む保守野党の弾劾賛成派と果たしてどう向き合うだろうか。