「8.15特赦」で朴槿恵前大統領の赦免はあるのか?
大統領権限である特別赦免、いわゆる「特赦」は大統領任期中に3~4度行われるのが通例だ。その時期は多くの場合、就任時、新年、そして光復節、即ち日本の終戦記念日にあたる8月15日に行われる。
中でも8月15日の特赦は「光復節特赦」と呼ばれ、大統領による赦免の代名詞的な存在で、『光復節特赦』というタイトルの映画まで存在するほどだ。
朴槿恵前大統領が懲役22年の宣告を受け、収監されてからすでに4年が経った。仮に、彼女が刑期満了まで刑務所で過ごすとすれば、朴前大統領が出所するのは2039年、87歳になってからである。問題は、現在韓国人の間では朴槿恵前大統領の拘束収監について「『政治報復』であり『冤罪』である、22年はあまりにも酷い」と考えている人が少なくないということだ。
朴前大統領に適用された容疑は大部分が「権力濫用」である。だが、その権力濫用の中身をみてみると、これが果たして懲役22年の長期間実刑に当たる重罪なのかと、首をかしげたくなるような内容が少なくない。例えば、企業のオーナーたちにスポーツ振興のための支援を頼んだ、というのが権力濫用とされているのだが、歴代大統領中に、その程度の投資や支援を依頼したことがない大統領がいただろうか? 文大統領も平壌訪問時、北朝鮮に経済協力や投資をアピールするためにサムスン、SK等の韓国財閥企業のオーナーたちに依頼し、同行させた。2017年米韓首脳会談の時にも韓国企業の米国への投資を検討していた財閥のオーナーたちを米国まで同行させた。もし、同じ基準で歴代政権を裁いたなら、無罪放免される政権は存在しないだろう。
朴槿恵に対する赦免は保守支持層だけの意見ではない。次期大統領有力候補中の一人であり、今年の3月まで与党代表を務めた李洛淵(イ・ナギョン)前総理も、今年1月、朴槿恵の赦免を大統領に建議すると公の場で明言している。彼が赦免を進言する理由として挙げたのは、「国民の統合」である。つまり、朴槿恵の収監により国民が賛成派と反対派に分断した状態であることを認め、対応が必要だという意見だ。
ところで、朴槿恵の赦免がなぜ保守野党にとって致命傷となりうるのか? それは表面的には1つの政党としての体をなしている保守野党であるが、内部では<弾劾反対派>と<弾劾支持派>に分かれているためだ。