「ビーガンで育てられた赤ちゃんが栄養失調で死亡」
このような痛ましいニュースが定期的に世界中を駆け巡る。そのたびに「ビーガン=栄養不足」との認識が「健康説」を強く脇に追いやって、世の中に浸透していく。
事件の詳細を見てみれば、そこにはビーガン以前の問題があることがすぐに分かる。ガリガリに痩せ、栄養失調で肌の色も黄ばんでしまっている乳児に「野菜と果物」だけ与えて、「平気だと思っていた」という親には、根本的な認識能力に問題があったと言わざるを得ない。
では、そのような逸脱したケースを除いて、成長期の子供がビーガンになるのは、まったく問題ないと言えるのだろうか。成長に必要な栄養素を菜食で十分にまかなうことが可能なのだろうか。
初めに断っておくと、筆者とその家族は完全菜食を実践しており、いわゆる「ビーガン」(このラベルは好きではないのだが)である。育ち盛りの小学5年生の息子もいるため、子供が自ら完全菜食を決断した時は、逆に親としてとても不安になったものだ。
だからこそ、本稿はビーガンを手放しに称賛する目的では一切書かれていない。一人の子供の責任ある親として、ビーガンという食生活が成長期の子供にふさわしいのか、またどのようなことに気を付けなければならないのか、ということをあくまで客観的に慎重に見極めることが目的である。