中国共産党創立100周年を前に北京で開催された文芸ショーで、スクリーンに映し出された、党への忠誠を誓う習近平国家主席をはじめとする中国共産党幹部たち(2021年6月28日写真:AP/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 今年(2021年)は中国共産党建党100周年であり、7月1日午前8時から北京の天安門広場で盛大な祝賀記念大会が行われる。正確な建党日は7月23日らしいが、便宜的に7月1日が建党記念日とされている。この日、習近平が重要演説するということで、どんな演説をするのか注目が集まっている。この原稿が公開された後に演説が行われるので、私はその内容についてはまだ知らない。おそらくは、共産党政権の正統性を強く訴え、同時に習近平が毛沢東以来の指導者、つまり鄧小平を超える指導者であることをアピールする内容になるのではないか、と見られている。

郊外の「遊び」も規制

 この建党100周年の記念大会が、本当に人民に祝福されて迎えられているのかという点にはついては、今の段階でもだいたいわかる。正直、祝賀ムードよりは、異様にピリピリした緊張感が伝わってくるのだ。

 6月28日から7月1日の式典閉幕まで、天安門広場周辺への交通規制措置がとられ、大会専用車両以外は進入できないし、人の通行もできない。30日からは地下鉄、バスも一部運行停止となり、駅も封鎖された。

 建国70周年記念の時も同様の規制は敷かれていたので、党が大規模政治イベントを開くときの通常通りの措置と言えるが、気になるのは、6月13日から北京市の東城区、西城区、朝陽区、海淀区、豊台区、石景山区、房山区、通州区、大興区など広範囲で、鳩、たこ、ドローン、リモコン飛行機などを飛ばすことが禁止された措置だ。十数年前の北京駐在時代の記憶を振り返れば、この季節、鳩笛を付けた鳩を飛ばしたり、たこを揚げたりすることを多くの市民が楽しんでいたが、豊台や通州のような天安門広場から遠く離れたところまで、こうした遊びさえも規制するのかとちょっと驚いた。

 ほかにも、6月12~13日の週末に、会場周辺のセキュリティ、交通管制演習が1.4万人を動員して行われた。故宮博物院や天安門広場、首都博物館、国家博物館、朝陽公園、オリンピック公園などの多くの場所が封鎖されているという。お祝いごとならば、公園や博物館でもっと自由に市民が参加できる記念イベントがあってもよさそうなものだが。一部ネットユーザーの複数の証言によれば、一部厳重警戒区域内の住宅では台所で使うガスも遮断、その間、社区の党組織が食事をデリバリーするとか、包丁刃物類のネット販売に制限がかかったとかいう話も。企業も工事現場も7月4日まで休業が指示されている。