木材の価格高騰と調達難が続いている

 木材価格の高騰というニュースが「ウッドショック」として世界中を駆け巡っている(参考記事)。ここまで跳ね上がっている理由としてはコロナ後の景気回復という側面もあるが、主要木材産出国であるロシア(産業用丸太輸出量で2018年に世界第2位)が2022年に原木の輸出を禁止する措置を打ち出したことも影響していると推測している(参考記事)。

 全国木材組合連合会のデータを見ると、米国の需要は旺盛だが国内生産量もあり、低金利も後押しした住宅需要が伸びたといっても、国際市場に与える影響は限定的だったと思われる(「表3 主要国の用材の生産量と消費量」)。

 同様に、米国産材の先物市場をみると、2020年8月にピークを迎えた後、先物市場は落ち着き、その後は回復しているが、コロナワクチンが普及する以前から価格の再上昇は始まっている(参考記事)。価格が上昇し始めるのは2020年10月からだが、ロシアが上記の輸出禁止発表をしたのは2020年9月末である。

 さらに、米国の建築需要の回復はコロナによる落ち込みをカバーするものであって、もともとの需要増加トレンドを上振れさせるものではない。

 要するに、今回のウッドショックはコロナ後の景気回復だけでなく、ロシアの禁輸施策、中国の需要の堅調さ、景気対策としての米国の低金利施策に加え、コロナによる世界的な物流の混乱、スエズ運河のタンカー事故による欧米木材の流通混乱などが拍車をかけた金融的高騰(単純に言えばバブル)という見方の方が正しいのではないか。現に、先物相場はこの数日、ピーク時よりも落ち着いている。

 ただ、この動きが一時的なものかというと、ロシアの禁輸措置に伴う供給不足や製材価格への影響が出ることは必至だ。ある程度、相場は落ち着くだろうが、輸入木材価格の高止まりが国内住宅メーカーに与える影響は無視できない。