またしても繰り返される「予防原則」の罪

 これらの実数を見て私がまず想起したのは、2011年3月11日の東日本大震災直後に発生した、急ぐ必要ない「緊急避難」で落命された被災地高齢者のケースです。

 移動そのものが生命のリスクに直結する人も例外とせず、一律の措置を講じる過ちについては、尊敬する同僚の哲学者、一ノ瀬正樹さんが「いのちとリスクの哲学」の中で詳しく論じておられます。

「予防原則」つまり、リスクがあるとされた場合は、一律に予防措置をとるのが万能の正義のように受け止められる過ちが、多くの「震災関連死」を生み出してしまいました。

 一ノ瀬さん、島薗進さんとご一緒して私も編著に加わった「低線量被曝のモラル」でも強調した点ですが、過ぎたるは及ばざるがごとし、いや及ばざるにむしろ劣ります。

 高齢者施設などのなかで、すべての収容者に一律に打たなければ予防接種の疫学的意味がないといった医療統計的な考えに基づいて、100歳老人にも例外なく、原則収容者全員に一律の接種を行うことは、是とされることなのか?

 これは生命倫理の重い問題でして、私たちグローバルAI倫理コンソーシアムのAI生命倫理コアで国際的に検討し始めたばかりの問題でもあります。

接種が増えれば副反応も増える

 今回の厚労省発表データから、もう一つ特徴的なデータ挙動を取り出してみましょう。1日ごとに、積算死亡者数をプロットしてみると、以下のようなグラフが得られます。

 3~5月の日本国内ワクチン接種後累積死亡者

 一見して明らかなことは、ある時点で死亡者数の増加率が急変していることでしょう。

 あくまで5月末の厚労省発表データをもとにプロットしたもので、何の作為もありませんが、4月20日頃を境に、積算死亡者数の増加割合が増えているのを確認、ため息をつかざるを得ませんでした。