もうどうしようもない、初歩的なミスによる現場の混乱としか言いようがありません。
私が前回稿(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65466)で「せめてワクチンの入った瓶のナンバリング管理ぐらいしなさいよ」と、小学生の給食当番に注意するようなアドバイスを記さねばならなかった714人ものワクチン接種者「継続観察」。
その5月28日に同じ福岡で、久留米と目と鼻の距離にある大牟田市で今度は「m-RNAワクチンを冷蔵庫に仕舞い忘れる」事態が発生しました。
それこそ給食当番の子供が犯すようなミスでした。
このため、医療従事者に接種するはずであった「1044人分のワクチン」が使い物にならなくなり捨てざるを得なくなった。まず事件を振り返っておきましょう。
大牟田市の独立行政法人・国立病院機構「大牟田病院」(川崎雅之院長)で、ワクチンを保存している冷凍庫から、当日使用するために1044人分(1バイアル瓶6人分のシリンジを用いているとして174個のバイアル瓶が入った)ケースが超低温冷蔵庫から取り出されました。
そして、そのまま準備台の上に約3時間放置されていたという。さぞかし室内の水蒸気が結露して、あたりは水びたしになっていたことでしょう。
ワクチンは1人分が約2000円弱ということなので、正確な価格は分かりませんが 1瓶1万5000円程度とすると、こんなうっかりミスだけで260万円ほどワクチンが無駄になったらしいとも推察されます。
なぜ、こんな初歩的な事故が起きたのか?
マニュアルには2人で行うことになっているこの種の作業を、1人で行ったために、うっかりミスに気付かなかったのが、ことの真相だったという。
でも、その1人のミスばかり責め立てても意味はないでしょう。